多発性筋炎の初期症状

多発性筋炎と皮膚筋炎

≪多発性筋炎≫は、筋肉の障害(炎症・変性)により力が入らなくなったり、疲れやすくなったり、筋肉が痛くなったりすることを基本的な症状とする病気です。

 

また、特徴的な皮膚症状【ゴットロン徴候(手背側の手・指の関節表面の皮が剥けた紫紅色の皮疹)や、ヘリオトロープ疹(眼瞼部の腫れぼったい紫紅色の皮疹)など】を伴う場合には、≪皮膚筋炎≫と呼ばれます。

 

しかし、この皮膚症状の有無で筋病変の特徴に差がないため、多発性筋炎・皮膚筋炎の名称で同一疾患として扱われています。多発性筋炎・皮膚筋炎の病因は未だ不明で、免疫の異常(自己免疫異常=自分の身体を細菌やウイルスなどから守る免疫のバランスがくずれて、健康人では認められない、自分の身体に対する抗体などを持つ異常)、ウイルスなどの感染、悪性腫瘍、薬剤の影響、遺伝的要因などが考えられていますが、いまだに確定されていません。

 

原因不明の他の病気と同様に、遺伝的要因も考えられてきました。人種により発症率が異なったり、最近、遺伝因子を表わす白血球の型(HLA)との関連が研究され、多発性筋炎・皮膚筋炎と相関するHLAの報告もありますが、確定されてはいません。

 

また、兄弟間や親子間での発症の報告はありますが、一般的には家族内発症(遺伝関係)は稀です。むしろ家族歴のないことが、他の代表的な筋疾患である「進行性筋ジストロフィー」などとの重要な鑑別点の一つと考えられています。